ホワイトペーパー

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功能安全

先月、中国北京にてISO 26262に関する大規模なシンポジウム『2012 International Symposium on Road Vehicle Functional Safety Standards and Its application』が開催されました。このシンポジウムでは、中国の政府系機関からの発表として、2014年中にISO 26262の主要なパートについて中国の国内規格の作成を完了し、続けて2015年を目途にすべてのパートの規格を作成して発行する計画が示されました。この計画は、既に中国政府に提出されており、近いうちに承認される予定です。
さらに、中国の認証制度を整備していく方向性も発表され、中国におけるISO 26262の急速な広がりが予想されます。

そのような中国でのISO 26262の展開を見ていてふと気付いたことがあります。「Functional Safety」、日本では「機能安全」と呼ばれますが、中国では「功能安全」と呼ばれていたのです。

確かに、「機能」という言葉には、安全に効果があるという意味までは含まれておらず、安全に効果があるかどうかは別の話です。安全に対する効果ということでいえば「功能安全」の方が正しいニュアンスではないかと感じ、興味を持ちましたので調べてみることにしました。

まず、日本においてISO 26262の活動をしているある組織の方に、中国では「Functional Safety」のことを「機能安全」ではなく「功能安全」と呼ぶことを話したところ、後日、中国側にこの話を問い合わせたそうです。この問い合わせについて中国側から、「機能安全」と「功能安全」は特に使い分けずに使用しているという回答がありました。

そこで、当社の中国人コンサルタントにも、中国における「機能」と「功能」の言葉の持つ意味を確認したところ、「機能」とは動植物のように生命を持った機能を指す言葉で、「功能」は機械のように生命を持っていない機能を指し、後者が日本人の使っている「機能」に近い言葉でした。

中国の辞書「辞海」における解釈も確認してみたところ、「機能」は、生命(組織)が本来持つものを指しているに対し、「功能」は、物事や仕組みによって発揮される有益な作用、効能を指す言葉でした。

こうして見ると、中国における「功能安全」は、基本的には日本の「機能安全」と同じ意味で扱われていますが、やはり「功能」には、「機能」よりも「有益な作用、効能」というニュアンスが強いようです。

今回の「功能安全」の話をきっかけに、「その機能や対策は本当に安全に効果があるのか、有益な作用と効能のある生きた安全と言えるのか」という観点で日頃の活動をもう一度考え直してみてはいかがでしょうか。
(2012年10月号メルマガ抜粋)

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