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Automotive SPICE の概要

Automotive SPICEとは

Automotive SPICE は、車載ソフトウェア開発の新プロセス標準として策定された、プロセスモデルです。
欧州の完成車メーカーは、取引先のサプライヤーに対してAutomotive SPICEに基づいた評価を実施し始めました。2005年に英語版が発行され、翌年当社の翻訳監修のもとで日本語版が発行されました。その後は定期的に改訂されています。

Automotive SPICE は、車載 ECU のソフトウェア品質の改善を目的としてつくられたもので、欧州の完成車メーカーが発注先のサプライヤーに対するアセスメントや、プロセス改善を要求する際のガイドラインとなっています。

Automotive SPICEの歴史

Automotive SPICE の歴史を、そのベースであるSPICE *1の誕生までさかのぼり、まとめると下記のようになります。

  • 1993年:ISO 及び IEC のジョイントテクニカルコミティーのプロジェクトとして、SPICE プロジェクトが発足
          目的は、ソフトウェアプロセス監査(アセスメント)の標準を提案するため
  • 1998年:SPICE プロジェクトの成果として、ISO/IEC 15504が ISO/IEC TR *2 15504:1998(E)として発行
  • 2000年:完成車メーカーはISO/IEC TR 15504をアセスメントモデルとして使用開始(主に HIS *3 スコープ)
  • 2003年~2006年:国際標準(Part1から5)が順次発行
  • 2005年:Automotive SPICE 発行、自動車部品サプライヤーのための監査モデル設定
          自動車業界に特化したプロセスアセスメントモデル(PAM)をAutomotive SIG *4 が策定
  • 2006年:完成車メーカはアセスメントのベースとしてAutomotive SPICEを使用(主にHISスコープ)
  • 2006年:PAM v2.2発行
  • 2007年:PAM v2.3発行
  • 2008年:PAM v2.4発行
  • 2010年5月:PAM v2.5発行                 PAM v2.5の変更点の詳細とアセスメントへの影響を知りたい>>

*1 SPICE: Software Process Improvement and Capability dEterminationの略。
*2 TR: Technical Reportの意。”IS: International Standard”の1つ前のステッ プ。
*3 HIS: 車載ソフトウェア開発プロセス改善のために欧州メーカーが中心になって結成した業界団体。
*4 Automotive SIG: ドイツAudi社、ドイツBMW社、DaimlerChrysler社、ドイツPorsche社、ドイツVolkswagen社の5企業グループを中心として発足した団体。

欧州完成車メーカーのプロセス改善要求の内容について知りたい>>

プロセスモデルとしての Automotive SPICE

ソフトウェア開発業界全般においては、CMMIやISO/IEC 15504がプロセスモデルとして一般に利用されてきました。こうした汎用的なプロセスモデルに対して、Automotive SPICEは、自動車業界の組込みソフトウェア開発に応用しやすいように特化したプロセスモデルと位置づけられます。

策定にあたっては、ISO/IEC 15504 (通称:SPICE, Software Process Improvement and Capability dEtermination)および「ISO/IEC 12207」をベースとしています。自動車に特化したSPICEということで、Automotive SPICEと呼ばれています。

ここで、ISO/IEC 12207 はソフトウェア開発の標準プロセスを定めた規格であり、一方で、ISO/IEC 15504 は標準プロセスだけでなく、改善のためのアセスメント手法までを定めた規格です。ISO/IEC15504 は、開発の標準プロセスの内容を改めて記述することはせず、ISO/IEC 12207の内容を「ISO/IEC 15504 のプロセス参照モデル」として包含しています。

なぜ “Automotive CMMI” ではないのか

自動車業界ではすでに、日本も含めてCMMIによる開発プロセス改善を実施している例を多く見ることができます。Automotive SPICE はなぜ CMMI をベースに策定されなかったのでしょうか。その理由は、CMMI が米 Carnegie Mellon 大学の Software Engineering Institute (SEI) の知的財産であり、特定の団体が内容に変更を加えることを許可していないためです。 CMMI ベースでは、今回のような業界に特化したプロセスモデルを策定することができないのです。

これに対し、ISO/IEC 15504 は、特定の団体が開発プロセスの標準モデルを独自に定義できる柔軟性があります。欧州の自動車業界はこの特長を利用して Automotive SPICE を策定しました。

とはいえ、本質的な部分において CMMI と Automotive SPICE の間で違いはありません。例えば、マネジメントに関係するプロセス(プロジェクト管理、構成管理、品質管理など)や、プロセスに関する能力レベルの概念において、両者は非常に似通っています。

あえて違いを言えば、Automotive SPICE では組込みソフトウェア開発に関する要件が具体的であるのに対して、CMMI のエンジニアリングプロセスは非常に抽象的である点などです。

CMMI アプレイザルに関するサービスはこちら>>

CMMI に関するトレーニングはこちら>>

Automotive SPICE の公式サイト、参考文献

Automotive SPICE は、以下の2つの文書から構成されており、公式サイトから無償でダウンロードすることができます。

  • Automotive SPICE プロセス参照モデル v4.5
  • Automotive SPICE プロセスアセスメントモデル v2.5
    公式サイト: http://www.automotivespice.com/

Automotive SPICE に関する書籍、雑誌記事はこちら>>

Automotive SPICE の構造

Automotive SPICE は、通常次の二次元モデルとして表現されています。
横軸のプロセス座標は、プロセスアセスメントモデル(PAM)で定義されている31種類のプロセスです。
また、縦軸の能力座標は、PAM で定義されている Level 0 から Level 5 までの 6段階の能力レベルを表します。
実際にプロセス改善を行う際には、31プロセス全部を対象にする必要はなく、完成車メーカーが求める15個程度のプロセス、または自社で独自に選択したプロセスに対して実施します。


完成車メーカーが要求しているプロセスの数や種類を知りたい>>

Automotive SPICE のプロセスについて詳しく勉強したい>>

Automotive SPICE のアセスメント

Automotive SPICE のアセスメントは、その目的に応じて下記のように分類できます。

公式アセスメント:

  • (お客様の)ソフトウェア開発サプライヤ向けのアセスメント :
  • ソフトウェア納入先企業による自社(お客様)向けのアセスメント
  • 社外向けのアナウンス等も目的とした自社(お客様)向けのアセスメント

内部アセスメント:

  • プロセス改善活動のための自社(お客様)向けのアセスメント

公式アセスメント、内部アセスメントについて知りたい>>

アセスメントの具体的な進行は、基本的には下記の図のようなステップで行われますが、アセスメントの種類や関係者の都合などによって、実際にはいろいろなケースがあります。



いろいろなタイプのアセスメントについて知りたい>>

アセスメントはまだ先だがその前に現状を把握したい>>

プロセスの知識がなくてもプロセス改善を始められる方法を教えてほしい>>

Automotive SPICEの能力レベル2を達成したい>>

Automotive SPICE のアセスメントレポート

アセスメントレポートは、アセスメント結果と、アセッサーからのフィードバックをまとめたものです。

アセスメント結果は、プロセス属性ごとにその達成度の評価を行う、プロセス属性評定と、その結果をもとに行う、能力レベル評定の2段階で決定されます。

アセスメントの目的によって、記述言語の種類、内容の細かさなどのバリエーションを選択することができます。

[サマリーレポート] [詳細レポート]
サマリーレポート 詳細レポート

アセスメントレポートの中身を詳しく知りたい>>

Automotive SPICE のアセッサー

Automotive SPICE のアセッサー資格は、Provisional Assessor、Competent Assessor、Principal Assessorの3種類あります。

各アセッサー資格の特徴を知りたい>>

アセッサーになるためのトレーニングを受けたい>>

各アセッサー資格の取得・更新要件を知りたい>>

Automotive SPICE の最新動向

Automotive SPICE を取り巻く状況は、下記のような要因によって変化します。

  • ISO/IEC 15504 の動向
  • ISO 26262 (自動車分野の機能安全規格)の動向
  • 完成車メーカーの動向
  • iNTACS *5 の動向
  • SPICE User Group の動向

Automotive SPICE 紹介セミナーでは、こういった要因をふまえて、Automotive SPICE の最新の情報をお知らせしていますので、ぜひご参加ください。

また、2010年5月にリリースされたAutomotive SPICE PAM (プロセスアセスメントモデル)2.5 の変更点とその影響を解説するAutomotive SPICE アップグレードトレーニングを新設いたしましたので、V2.5でのアセスメントを検討されている方はぜひご参加ください。

Automotive SPICE 紹介セミナー>>

Automotive SPICE アップグレードトレーニング >>

*5 iNTACS:International Assessor Certification Schemeの略。Automotive SPICE のアセッサー資格認定について管理する団体。