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今だからこそ考える、プロセス構築とその継続的な改善の意義

 先月(2024年5月)経済産業省・国土交通省から「モビリティDX戦略」がリリースされ、ほぼ同時に国内主要メーカーが連携し次世代車の技術開発を始めるといった発表もありました。今まさにモビリティ社会の実現に向けた開発を加速させ、国際競争力を高めていく方向へと進んでいます。では、開発現場の実態はどうでしょうか? 顧客対応、開発短納期、要素開発、生成AI活用方法など様々な業務で溢れ、多忙な日々を送られていることと思います。そのような中、「品質」や「安全性」に不安を持たれている方も少なくないはずです。本メルマガでは、そのような状況下だからこそ、改めて「品質」「安全性」を作り込んでいくためのプロセス構築とその継続的な改善の重要性を考えていきたいと思います。

 Automotive SPICEに準拠する組織標準プロセスの構築・運用や機能安全対応を進めていらっしゃる現場の皆さん、皆さんは「あなたが担当した製品の設計品質や安全性は大丈夫ですか?」と問われたら、どの様に答えますか? 今あなたの潜在意識にあるもの、それが実情なのです。もし仮にあなたが45歳ベテラン社員で「大丈夫ではない・大いに不安がある」と回答したとしましょう。今の若手や中堅があなたと同じ年齢やレベルに達した時に同じ質問をし、あなたと同じ回答をしたとしたら、あなたはどう思いますか? これは「組織が成長していない=会社が成長していない」状態を示しています。むしろ衰退しているかもしれません。「品質」や「安全性」は会社の経営に直接影響することは皆さんが十分に理解されていることです。これを支えているのは技術とプロセスです。技術を育てることと並行してプロセスも育てていくことが大切なのです。どうしてもプロセスは後回しとされがちです。しかし、プロセスを構築し自社の品質問題や課題に対して、また世の中の動向に合わせた改善(アップデート)を重ねていくことで、会社を永続的な繁栄へと導いている1つの重要な要素であることを再認識してください。

 技術革新が進んでいく中、Automotive SPICEもその流れとともに改訂を重ね、今ではv4.0。並行して機能安全やサイバーセキュリティなどの法規や規格も発行されてきました。今後も新たな法規や規格の策定が想定され、また生成AIなどの利用により技術や手法も大きく変化していくことでしょう。それら対応のためにも技術者育成と同時にプロセスに精通した人材や社内アセッサーを育成することが重要なのです。育成することにより、プロセスの運用・定着、新たなプロセスの定義や定期的な社内アセスメントによる継続的プロセス改善が行える組織・体制を構築し、次の世代へと繋げていく企業文化の醸成が強く望まれます。

 今後、モビリティ産業を取り巻く環境は更に激化していきます。その中で「品質」「安全性」を確保しながら製品をリリースし続けていかなければなりません。だからこそ皆さんには、このタイミングでプロセス構築とその改善の重要性を再認識いただき、技術革新と合わせて社内プロセスに対しての変革をもたらす活動を進めていただきたいと思っています。活動を進めるにあたり、プロセス構築や社内アセッサー育成など、様々な疑問や困り事に関しまして、お気軽にお問合せいただけましたら幸いです。

 最後に、本メルマガを最後まで読んでいただきありがとうございます。
 皆様からの、ご意見、ご感想やご要望など、心よりお待ちしております。

2024/6/10 牛込 一安