1. Automotive SPICEの概要
Automotive SPICEは、VDA QMC(ドイツ自動車工業会 品質管理センター)から発行されている車載システム開発向けのプロセス改善、プロセスアセスメントを目的としたプロセスモデルである。
※発行当初はThe SPICE User Groupから発行された
このモデルは、ISO/IEC 15504(通称SPICE:Software Process Improvement and Capability dEtermination)のフレームワークに基づいて車載システム開発向けに策定されたものであり、プロセスの定義や改善の際のリファレンスを目的としたPRM(プロセス参照モデル:Process Reference Model)と、プロセス能力の評価のための指標であるPAM(プロセスアセスメントモデル:Process Assessment Model)から構成されている。なお、Automotive SPICE PRM V4.5およびPAM V2.5まではPRMとPAMが別文書として存在していたが、Automotive SPICEのフレームワークがISO/IEC 15504からISO/IEC 33000シリーズに再編されるに当たって、PRMとPAMの両方を一つの文書に集約したAutomotive SPICE V3.0がリリースされた。今後はPRM、PAMが個別のバージョンを持つことなく、Automotive SPICEとしての文書バージョンとして管理されることとなる。
そして、現在は最新の技術動向などを踏まえて、プロセスの追加、削除が行われたAutomotive SPICE V4.0がリリースされている。変更内容の詳細については、後の章である「2.Automotive SPICEの歴史」にて解説する。
※発行当初はThe SPICE User Groupから発行された
このモデルは、ISO/IEC 15504(通称SPICE:Software Process Improvement and Capability dEtermination)のフレームワークに基づいて車載システム開発向けに策定されたものであり、プロセスの定義や改善の際のリファレンスを目的としたPRM(プロセス参照モデル:Process Reference Model)と、プロセス能力の評価のための指標であるPAM(プロセスアセスメントモデル:Process Assessment Model)から構成されている。なお、Automotive SPICE PRM V4.5およびPAM V2.5まではPRMとPAMが別文書として存在していたが、Automotive SPICEのフレームワークがISO/IEC 15504からISO/IEC 33000シリーズに再編されるに当たって、PRMとPAMの両方を一つの文書に集約したAutomotive SPICE V3.0がリリースされた。今後はPRM、PAMが個別のバージョンを持つことなく、Automotive SPICEとしての文書バージョンとして管理されることとなる。
そして、現在は最新の技術動向などを踏まえて、プロセスの追加、削除が行われたAutomotive SPICE V4.0がリリースされている。変更内容の詳細については、後の章である「2.Automotive SPICEの歴史」にて解説する。
Automotive SPICE のプロセス参照モデルとプロセスアセスメントモデルは、ISO/IEC 33004の要求に沿った形式で策定されており、横軸のプロセス座標と縦軸の能力座標から成る二次元モデルと呼ばれている。
横軸のプロセス座標は、主要ライフサイクルプロセスカテゴリーと支援ライフサイクルプロセスカテゴリー、組織ライフサイクルプロセスカテゴリーからなるPRMで定義される。
縦軸の能力座標はプロセスがどの程度成熟しているかを示す指標である。Automotive SPICEでは、能力レベルは0から5までの6段階に分類される。
横軸のプロセス座標は、主要ライフサイクルプロセスカテゴリーと支援ライフサイクルプロセスカテゴリー、組織ライフサイクルプロセスカテゴリーからなるPRMで定義される。
縦軸の能力座標はプロセスがどの程度成熟しているかを示す指標である。Automotive SPICEでは、能力レベルは0から5までの6段階に分類される。
最後に、Automotive SPICEを参照する際に注意するべき点を3つ紹介しておきたい。
1つ目はAutomotive SPICEの視点である。Automotive SPICEはPAMを中心にまとめられているため、プロセスの定義や改善の観点としては情報が少ない。よって、そのまま参照して改善活動に反映させるのは難しくなっている。
2つ目は文書のボリュームについてである。Automotive SPICEは文書のボリュームに制限があり、バージョンが上がり内容の改訂が行われると、前のバージョンでは詳細に解説されていた内容の抽象度が上がり、場合によっては削除されることがある。この影響で、経験の浅いプロセス改善の担当者は内容を理解することが難しくなっている。一方、経験が豊富なアセッサーとしては、解釈の自由度が上がり使用しやすくなっている。
3つ目は、生産プロセスに対するプロセス又はアセスメント指標を定義していないことである。IATF16949またはVDA6.3 など、生産を適用範囲とする他の国際規格との冗長性や潜在的な矛盾を回避するため、Automotive SPICEには生産プロセスの対応項目は全く含まれていない。ただし、Automotive SPICEの能力レベル2以上の観点は、開発プロセス以外のあらゆるプロセスに適用することができる。よってAutomotive SPICEの経験を積むことで、多くの領域でプロセス改善に活用できるようになる。
1つ目はAutomotive SPICEの視点である。Automotive SPICEはPAMを中心にまとめられているため、プロセスの定義や改善の観点としては情報が少ない。よって、そのまま参照して改善活動に反映させるのは難しくなっている。
2つ目は文書のボリュームについてである。Automotive SPICEは文書のボリュームに制限があり、バージョンが上がり内容の改訂が行われると、前のバージョンでは詳細に解説されていた内容の抽象度が上がり、場合によっては削除されることがある。この影響で、経験の浅いプロセス改善の担当者は内容を理解することが難しくなっている。一方、経験が豊富なアセッサーとしては、解釈の自由度が上がり使用しやすくなっている。
3つ目は、生産プロセスに対するプロセス又はアセスメント指標を定義していないことである。IATF16949またはVDA6.3 など、生産を適用範囲とする他の国際規格との冗長性や潜在的な矛盾を回避するため、Automotive SPICEには生産プロセスの対応項目は全く含まれていない。ただし、Automotive SPICEの能力レベル2以上の観点は、開発プロセス以外のあらゆるプロセスに適用することができる。よってAutomotive SPICEの経験を積むことで、多くの領域でプロセス改善に活用できるようになる。