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プロセスが展開できない理由とは?ワークショップを活用した突破事例

 多くのお客様から「開発プロセスを整備したもののプロジェクトに展開できていない」、「開発業務が多忙で、プロジェクトへの適用が進まない」といったご相談を受けることがあります。今回は、EPG(Engineering Process Group)の方からよく寄せられるご相談の一例をご紹介します。具体的には、Automotive SPICEに準拠したプロセスを整備しながら1つ目のプロジェクトで実装が成功した後、2つ目のプロジェクトへの展開が進まなかった事例※1です。

 EPGの方は、プロジェクトマネージャー(PM)とリーダー(PL)に導入トレーニングを実施して、プロジェクトへの適用を依頼しています。その数か月後、開発業務は進んでいたものの、プロジェクト計画書が作成されていませんでした。弊社とのプロセス改善を進めるためのワークショップの中で、EPGの方から、PM・PLの方々から「開発業務が多忙のため、対応が難しい」と言われること、中には「PMとPLの方に取り組む意欲がないのでは」という懸念の声もありました。

 このような場合、展開できない原因が開発プロセスにないかを確認しますが、開発プロセス以外のところに原因が潜んでいる可能性もあります。そのためマッキンゼーが提唱した7Sモデル※2(組織の要素を戦略・スキルなど7つの観点から分析)を応用した、開発プロセス実装のチェック観点(下図参照)を用いて、開発プロセスの適用が進まない状況とその原因を関係者の方々と一緒に確認します。
EPGの中でPMとPLの方が率直に話しやすい方が個別にヒアリングを行い、チェック観点を確認すると「目的を理解しモチベーションはある」、「わからないときに気軽に相談できない」、「やったことがないため増員が必要」といったことがわかりました。

図 開発プロセス実装のチェック観点

 ヒアリングの後、相談窓口の設置、不足している成果物を作成するために必要な工数をワークショップでEPG、PM・PL、弊社が一緒に見積りました。そして人的リソースを確保するための社内調整、さらにOJTが始まり、止まっていた2つ目のプロジェクトへの展開が進みました。

 プロセスの展開が進まない場合は、まず関係者間で課題を明確にして、共通認識を持つことが重要です。そのうえで必要性や目的の合意形成、人的リソースの確保、体制の強化、トレーニングやOJTの実施など具体的な対策を講じていくことで展開が進む可能性は高くなります。
今回の開発プロセス実装の課題解決アプローチは、お客様の個々の課題に合わせて適用するワークショップも可能です。お持ちの課題への適用と解決の可能性をご検討いただければ幸いです。

2025/2/13 西門 克郎

※1 同様のご相談を受けた複数の事例に基づき、少し抽象度を高くした内容です。
※2 https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-12513.html