ホワイトペーパー

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機能安全ISO26262の読み方

2011年11月正式発行された自動車の機能安全規格ISO 26262は、第1部から第9部で構成されています。(ISO 26262は、第1部~第10部の全10部構成で作成されているが第10部は2011年12月時点では未発行となっています。)
ISO 26262の範囲は多岐にわたり、国際規格独特の表現が使われていることもあって、ISO 26262をどのように活用すればよいかわからないといった声がよく聞かれます。そこで、今回は“ISO 26262の読み方”について、簡単に解説いたします。

本規格の第2部~第9部に共通する基本構成は以下のようになります。
1 Scope(本規格の適用範囲を規定)
2 Normative references (本規格が参照している引用規格)
3 Terms, definitions, abbreviated terms (用語、定義、略語)
4 Requirements for compliance (規格適合性の要件)
4.1 General requirements (規格要件)
4.2 Interpretations of tables (表の解釈)
4.3 ASIL dependent requirements and recommendations
(ASIL に基づいた要求事項と推奨事項)
~~~~~ 以降は各条項の本文 ~~~~
X Title of each clause (条項のタイトル)
X.1 Objectives (条項の目的)
X.2 General (条項の概要)
X.3 Inputs to this clause(条項の入力情報)
X.4 Requirements and recommendations (要求事項と推奨事項)
X.5 Work products (作業成果物)
~~~~~ 以降は各 Annex ~~~~

上記のような構成の中では、どこが必須となるのでしょうか。国際規格では一般的に記載内容が【normative】と【informative】に分かれます。【normative】は、規格として必ず守らなければならない要求事項を示しています。一方の【informative】は、基本情報および推奨事項を示しています。
上記の内では、X.4,X.5が【normative】、X.1,X.2,X.3が【informative】と単純に捉えることが出来ます。しかし、その中にはさらにそれぞれ要求に対する強弱が存在します。その強弱は、規格に記載された英文の助動詞の使い方から判断することができます。その代表的な表現には、“shall”,“should”,“may”があります。“shall”は、もっとも強い要求事項であり、必須と解釈することができます。“should”は、強い推奨事項となっており特別な条件(明らかに適用できない場合など)を除いて適用が求められます。”may”は、弱い推奨事項となっており、出来るだけ従うことが望ましいが他の適切な手段を用いて同等の目的を達成しても構いません。さらに、本規格の要求事項、推奨事項としては目標となるASILに基づいて出されるものがあります。これは各条項の中にそれぞれ記載される形式になっており、“++”,“+”,“o”で指定されています。“++”は、強い推奨を意味しており、実質的には必須要求事項となります。“+”は、推奨事項となっており上記の“may”と同等の扱いになります。“o”は、要求事項としては対象外となります。
また、X.4に要求事項、推奨事項が書いてありますが、各条項に特化した内容になります。要求事項、推奨事項に関する項目が、各条項に記載されている中でもっとも重要な内容となります。

規格本文以外では、各部にAnnexが付属しています。そのうち、Annex Aは各部のガイドライン的な要素も含めた要約であり、本規格を読み始めるにあたって最初にAnnex Aに目を通すと全体を理解しやすいのではないでしょうか。Annex の数は、各部によって違いますがAnnex B以降は補足要求事項として記載されており、それぞれ【normative】【informative】として扱われます。

以上のように、国際規格の基本的な読み方を理解したうえでISO 26262を読み進めていくと、より効率的に規格の理解を進められるのではないでしょうか。
(2011年12月号メルマガ抜粋)

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