セーフティクリティカルな産業分野向けプロセス構築セミナー
~業界の垣根を越えて、国際規格とツールを用いて開発の変化に対応~
セーフティクリティカルな産業である自動車産業と航空産業は、似て非なると言われてきましたが、近年は、CO2削減が両産業分野での製品開発の要件となり、電池やモーターなどの電動化技術が重要な鍵になっています。電気自動車やハイブリッド車開発で得てきた信頼性・安全性設計の知見が今後、航空産業で生かされてきます。また、両産業分野は、その製品の故障や傷害が人の命を脅かすという共通特性を持つため、国際的な安全規格が製品開発に適用されています。その適用は、航空産業で1990年代から始まり、安全規格適用を支援する開発環境やツールが成熟しています。両産業の安全規格に準拠した製品開発は、安全設計に主眼が置かれており、「人はミスをする」ことを前提にし、「なぜその設計が安全なのか」について客観的に検証できることを重視した標準プロセス構築と効果的なプロセスの運用が成功のポイントとなります。また、より開発効率を向上するには、システム開発から各ドメイン(メカ、エレキ、ソフトウェア)開発プロセスの中にモデルベース開発手法を落とし込む必要があります。
本セミナーでは、国際的な開発プロセスフレームワークを活用し、最新設計手法を実装したツールを導入して最適なプロセスを構築する方法をご紹介します。
今回は、解析・シミュレーション技術を中心に、もの作り開発を成功に導くソリューションを提供する株式会社IDAJと、Automotive SPICEの国際アセッサー認定機構(intacs)の設立パートナーであるビジネスキューブ・アンド・パートナーズ株式会社の2社が講演し、ソリューションを具体的に実現するツール群のデモ展示も行います。
【日時】2019年7月16日(火)13:00~17:00(受付開始12:30)
【会場】ウインクあいち(愛知県産業労働センター)セミナー会場:1102
【参加費用】無料
【定員】100名
【対象者】自動車メーカー、車載システムサプライヤー、航空機メーカー、航空装備品サプライヤーの一般技術者、プロジェクト管理者
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■■■ プログラム内容 ■■■
13:00-13:10 開会のご挨拶(IDAJ)
13:10-14:00 セーフティクリティカルドメインへのAutomotive SPICEの適用例紹介とMBD適用の勘所(ビジネスキューブ・アンド・パートナーズ)
【概要】
Automotive SPICEは、車載システム開発向けのプロセス改善、プロセスアセスメントを目的としたプロセスモデルとして、国内外での活用が活発になってきています。自動車業界の機能安全規格(ISO 26262)に準拠した組織標準プロセスの改善と定着化に、Automotive SPICEが活用されています。その標準プロセスの上に、安全規格で要求されている安全設計技法を含む安全活動を実装することで、安全な製品開発を可能にします。これは、自動車業界に限らず、他のセーフティクリティカルなドメイン(民間航空機、鉄道、医療機器、産業機器など)の安全規格も同様の特性を持っているので、このアプローチは、効率的です。本講演では、Automotive SPICEのエッセンスを車載システム以外のドメインのプロセス構築に適用する例として、民間航空機の装備品ソフトウェア開発に適用されているDO-178Cを対象に、Automotive SPICEをどのように活用して、DO-178Cで要求されるレベルのプロセスを構築していくかを解説します。また、後半は、モデルベース開発手法を適用したプロセスにとって、品質確保の勘所をアセッサー視点で、解説します。
14:00-14:50 認証取得済みツールの適用によるソフトウェア設計開発プロセスの効率化とソフトウェア品質の向上(IDAJ)
【概要】
主にソフトウェア開発で用いられてきたモデルベース開発(MBD)手法は、メカやエレキ分野、さらには安全性・信頼性分析の分野でも用いられるようになり、“モデル”を使用した開発が多くのドメインに対して急速に拡大しています。MBD手法を開発工程に取り入れる場合にはなんらかのツールサポートが必要となります。そのツールの選択においては、標準プロセス定義に対して、プロセス内の活動を省略または自動化し、効率良くプロセスを実行できるように、プロジェクトの特性に応じたツールの適用と活用が鍵を握ります。
弊社は、MBD手法をサポートしたツールを取り扱っていますが、そのうちの一つANSYS SCADEは、自動車産業で求められるISO26262のツール認証を取得しており、また、航空機産業のDO-178CレベルAに適合したMBDツールです。また、ANSYS medini analyzeは、電機・電子システム(E/Eシステム)を対象に、ISO26262、IEC61508、ARP4754A/4761などの機能安全規格で求められる安全性・信頼性分析(MBSA:Model Base Safety Analysis)のためのシステムモデルを用いた統合ソリューションです。
本講演では、自動車・航空機産業にとって、Automotive SPICE準拠のプロセス構築、安全規格で要求される安全設計を含むシステム設計からソフトウェア開発の品質向上に向けて、これらの2つのツールの適用方法やノウハウについて、具体例を用いてご紹介します。
14:50-15:20 休憩 各種ツールデモをご覧ください
15:20-16:00 Mechanical SPICE活用のすすめ(ビジネスキューブ・アンド・パートナーズ)
【概要】
組込みシステムの開発では、ソフトウェア開発規模の増加や変更要求の多さから、ソフトウェア開発プロセス改善による品質向上、開発効率化を目標に、モデルベース開発手法の導入やプロセスモデルを活用したプロセス改善活動が積極的に行われてきました。しかし、組込みシステム同士の連携で成り立つ製品機能が増えている状況では、メカ、エレキ、ソフトウェアが協調できる開発プロセスを構築することが、品質を低下させない一つの選択です。Automotive SPICEは、バージョン3.0で導入されたプラグインコンセプトによって、システムの構成要素としてのドメインエンジニアリングに、ソフトウェアエンジニアリングだけでなく、メカニカルエンジニアリングと電気電子系ハードウェアエンジニアリングのプロセスモデルを加えて使用できるようになりました。
近年の車載システムは、システムを実現する機能が、ソフトウェアによるものにとどまらず、メカ、エレキとの高度な融合によって実現されており、これらプラグインモデルのニーズが高まっております。
本講演では2017年にメカニカルエンジニアリング向けのプロセスモデルとして発行されたMechanical SPICEの概要を紹介するとともに、メカ開発における以下の事例をご紹介いたします。
・メカ設計におけるトレーサビリティ管理
・メカ、エレキ、ソフトウェアをまたいだベースライン管理
16:00-16:40 PLM・SPDMによる設計開発プロセスの標準化(IDAJ)
【概要】
電動化や自動運転に関わる技術開発競争が激化する中、安全性を担保しながら効率的に製品開発を進めるためには、ソフトウェアだけではなくメカの開発においても、プロセス管理やデータ管理を徹底することが必須です。特に近年のCAD・CAM・CAE技術の進歩に伴って、設計開発の過程で膨大なデジタルデータが生み出され、様々に介在するようになりました。Mechanical SPICEにおいては、これらのデジタルデータを一連の設計プロセスと結び付けて一元管理し、トレーサビリティを確保することが求められます。本講演では、PLM(プロダクト・ライフサイクル・マネジメント)ソフトウェアを用いたプロセス管理の全体像と、モデルベース開発を進める上で不可欠なシミュレーションプロセス管理(SPDM; Simulation Process and Data Management)について実例を交えてご紹介します。
16:40-17:00 質疑応答・閉会のご挨拶(ビジネスキューブ・アンド・パートナーズ・IDAJ)
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