航空機に搭載されている電子機器(アビオニクス)の多くは、海外企業で開発され、認証取得を含めた製品開発のノウハウが蓄積されています。
しかし、国内のアビオニクスメーカーにとって、世界のアビオニクス市場に参入する場合、国内での情報や知見の少なさが、「ソフトウェア認証取得」を困難にしています。
アビオニクスソフトウェアは、ソフトウェア開発ライフサイクルを定義した規格DO-178C(2011年改訂)で要求される目的の達成を示すことによって、認証されます。
しかし、DO-178Cは「目的指向のアプローチ」のため、手段を規定しておらず、DER(米国連邦航空局の審査業務等を代行できる資格者)間でも、技術的な解釈の差異が発生しています。
新たにアビオニクス市場に参入する場合には、認証取得経験がないことで、不利になります。これは、日本のアビオニクス産業にとって共通の課題と言えます。
この課題を解決するために、JAXAとソフトウェア認証で先行する国内メーカーによって、「航空機装備品ソフトウェア認証技術イニシアティブ」が、2018年4月に設立されました。
ソフトウェア認証取得に必要なノウハウや情報を蓄積、共有することで、航空産業の発展に貢献することが狙いです。
このイニシアティブの主な活動は、ソフトウェア認証に必要な情報(テンプレート、チェックリストなど)の整備と提供、ソフトウェア認証規格の技術テーマに関するワーキンググループを立上げて、日本の統一見解を国内外に発信、海外の認証機関との連携や議論を通して、国内の認証活動をスムーズに進めるための環境を整備することです。
弊社は、自動車業界のお客様に対して、Automotive SPICEに対するプロセス評定と改善支援、プロセスの定着化活動、機能安全対応支援を提供しています。
また、intacs(国際アセッサー認定機構)の設立メンバーかつ、日本地域代表も務めています。これらの活動や経験は、「航空機装備品ソフトウェア認証技術イニシアティブ」の目的達成に大きく貢献できると考え、現在イニシアティブ参加の申し込みをしています。
業界発展のために、イニシアティブの活動で得られた成果や知見を今後も継続的に発信していきます。
2018/7/18 小西 晃輔