2. プロセスマイニングとは
プロセスマイニングとは、規格やプロセスモデルありきで考える従来のプロセス改善とは異なり、現状の活動から得られるイベントデータを分析し、プロセスの再構成によって見える化するアプローチです。すなわち、大量の時系列データを分析する手法(統計学、機械学習など)とプロセスをモデル化する手法(ビジネスプロセスマネージメント:BPM、ペトリネット、確率論、最適化など)を統合した手法がプロセスマイニングです。この手法を実現しているさまざまなプロセスマイニングツールが市場に提供されています。
プロセスマイニングの仕組み
業務プロセスそのものが定義されていなかったとしても、イベントデータさえあればプロセスマイニングを活用できます。プロセスマイニングを実施すれば業務プロセスに関わる問題が浮き彫りになります。具体的には、付加価値を生まない活動、非効率な活動、ボトルネックの活動などを特定することができます。
イベントデータを基にプロセスを可視化する原理
上図は、イベントデータを一覧化した表になります。イベントデータは、プロジェクトを識別するプロジェクトID、プロジェクトの中で実施されたプロセスまたはアクティビティ名をタスク、そしてタスクが実施された日時を含みます。これらのデータ属性から、プロセスマイニングのアルゴリズムを通して、プロジェクトID別に、タイムスタンプを元に、フローが構築されます。
例えば、紫色で示したPrj_1のタスクフローは、A、B、C、D、Eと各1回ずつ実施されています。タイムスタンプに基づいて、AからEの順番で実施されたと解釈されます。同様に、緑色で示したPrj_3のタスクフローを見てみましょう。タスクは、A、B、C、D、D、EとDが2回、それ以外は1回実施されています。
次に、これらのフローがプロセスモデルとして統合されます。プロセスマイニングでは、Aの次にBが実施された回数が2回であることも保持しています。同様に、Dの後にEが実施された回数が3回であることも保持されています。
仮に、理想的なプロセス実施が、A→B→C→D→Eの順番だとすると、見える化された状態で、AからC、BからD、CからB、DからDの実施が理想から外れた流れであることが一目で分かります。このプロセスモデルを眺めたり、ダッシュボードのような分析用のビューを用いて視点を変えてみることで、問題点や気になる点が見えてきます。