日々コンサルティングをする中で、JIRAやRedmineといったチケット管理ツールを活用しているプロジェクトをよく見かけます。
チケット管理とは、プロジェクトの中で発生する数あるタスクを”チケット”という単位に分割してタスクの管理をする手法です。その手法をサポートするツールを総称して、チケット管理ツールと呼んでいます。このチケット管理ツールが使われる場面としては、以下のような活動があげられます。
・プロジェクトで発生した問題や変更をチケット化して関係者内で情報を共有
・プロジェクト活動の各タスクをチケット化して進捗を管理
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しかし、これだけの活用では少しもったいないと思いませんか?より付加価値を出せる使い方はないものでしょうか?
実際にチケット管理ツールを使って問題管理/変更管理をされているお客様の中には、「不具合情報を共有するためにチケット管理ツールを導入したが、導入した嬉しさがあまり感じられない。」といった声を聴くことがあります。その際、私は「少し視野を広げて、集まった不具合情報を俯瞰してみませんか?思わぬ傾向が見えてくるものですよ。」とお答えしています。その意図は、分析を続けていくと、おのずと根本的な改善活動が導き出せていけるためです。
そこで、問題管理における活用例をいくつかご紹介しましょう。
・「モジュール」と「混入不具合件数」の関係:不具合が集中しているモジュールに着目してみる。そこから、そのモジュールの強度やレビュー密度など、複数の要因がどれだけ不具合件数に影響を与えているかを重回帰分析し、対応策(例:レビュー密度の向上)を導き出していく。
・「ステータス」と「滞留日数」の関係:ステータスと滞留日数に着目してみる。その結果から滞留日数が突出しているステータスに対する対応策(例:滞留の長いステータスの作業を細分化および見直し)を導き出す。
上記例のように、チケット管理ツールで扱っている項目に着目し、さらに分析を進めることで、新たな取組をすることなく改善に結び付けることができます。
また、チケット管理ツールの機能を活かした良い例として、個々の問題チケットの解決状況をバーンダウンチャート化して、次のリリースまでに問題をすべて収束することができるのかを判断する、という使い方も有効なのではないでしょうか。
最後に、組織内でチケット管理ツールを普及させるために、注意すべきことがあります。それは、活動の目的に合わない情報は極力チケットには持たせないことです。もし仮に、目的とは異なる情報まで持たせてしまうと、何のためにツールを導入したのか組織内でズレが生じ、結果としてツールの普及に支障をきたすことが考えられます。したがって、もし不具合撲滅を目的にしているのであれば、不具合の現象や混入原因、混入フェーズといった関連情報のみを持たせるべきですし、開発効率の向上を目的としているのであれば、計画・実績の各工数値や開発手戻りの頻度、といった関連情報のみを持たせるべきでしょう。
プロジェクトの目的を達成する1つの手段として、弊社ではこういったツールの導入ならびに活用方法をご相談いただけますので、是非お気軽にお問い合わせください。
2019/05/17 長澤 克仁