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“システム”とは(山内)

今回のメルマガのテーマは“システム”です。
Automotive SPICE V3.1の付録Cに記載された用語の定義によると、“システム”とは、「特定の環境内において、特定の機能または一連の機能を実現するために編成された相互作用のある“アイテム”の集合」のことと記載されています。
ここでいう“アイテム”とは、要件や設計の要素(Automotive SPICEではこれらをエレメントと呼びます)を具現化した実体を指しています。つまり、“システム”とは何かが単一で成り立つものではなく、アイテム、すなわち実体を伴ったものの集合体として成立するものを意味しております。
この実体は、機械系ハードウエア、電気・電子系ハードウエア、ソフトウエアの各技術ドメインから成り立っており、システムは個々の技術ドメインの上位概念として位置づけられます。しかし、本来の“システム”の概念は、これら技術ドメインによる物理的な構成だけでなく、それらの相互作用によって実現される機能やサービスに主眼を置いた形でも表現されています。
また、“システム”は異なる抽象度のサブシステムを包含して成立します。たとえば、自動輸送サービスを実現するための“システム”に着目すると、そこには自動輸送サービスを実現するためのインフラや車両がサブシステムとして包含されます。さらに自動輸送に使用される車両(車両システム)には自動運転システムが搭載され、自動運転システムには、カメラ、レーダー、LiDAR等のセンサのシステムが包含されています。
このように、“システム”は様々なアイテムの集合体として、アイテム間の相互作用の上に成立するため、システム要件分析では、これらの観点を俯瞰した分析が重要視されています。
読書の方には、改めて自分たちが用語として使用している“システム”について正しく認識できているかを考えていただければと思います。

今回のメルマガは、8月末に改訂されます「Automotive SPICE 実践ガイドブック」のコラムの一部をご紹介させていただきました。尚、Automotive SPICE実践ガイドブックの弊社ホームページからの販売開始は、9月上旬を予定しております。

2019/08/26  山内 誠