Automotive SPICEについて

Intro to Automotive SPICE

3. Automotive SPICE Guidelinesとは

従来、Automotive SPICEに基づくプロセスアセスメントは、OEMに所属していたり、OEMとの契約を結んでいたりする特定のアセッサーによって実施されることが多かった。これら特定のアセッサーは比較的近い関係性の中でAutomotive SPICEの変遷を経験してきたことにより、それぞれのアセッサーの特徴は理解しつつも、幸いにも根本的な解釈の違いにつながることは少なかったと言えよう。

その後、世界中でアセスメントが実施される機会が増え、アセッサーも増えていく中でアセスメント結果のバラつきが課題となっていった。結果にバラつきが出る主な原因の一つは、アセスメント対象のプロジェクトの置かれている背景の解釈の違い、もう一つはAutomotive SPICEに定義されているBPやGPといった指標の解釈、関係性の解釈である。後者については、現在のintacs認定プロビジョナルアセッサートレーニングにおいて基本事項が解説されているが、シラバス改定前の過去の認定トレーニングにおいてはそこまで厳格な解説が含まれていなかった。

そこで、Automotive SPICE V3.0の策定に当たったVDA AK13は、Automotive SPICEをV3.1にバージョンアップするとともに、上記のような解釈のバラつきを抑制し、質の高いアセスメント結果を導くための指針として、Automotive SPICE Guidelines V1.0(通称:Blue-Goldブック)を策定した。
このガイドラインには、プロジェクトの背景の捉え方や、BP、GPの評定の精度を上げるためのルールと推奨事項が詳細に定義されている。

そして、Automotive SPICE V4.0が策定されたタイミングで、Automotive SPICE Guideline V2.0が策定された。
V2.0では、従来のガイドラインからアセスメント負荷軽減を目的に以下の改良が行われた。
・アセスメント対象組織、プロジェクトにおけるプロセスの解釈に役立てるための情報の記載
・曖昧だったルールの明確化
・推奨事項の撤廃
 ※適用条件が曖昧だったため、推奨事項に位置づけられたものは、ルールに移動するか削除となる
・アセスメントの再現性向上

また、V2.0のガイドラインの発行により、intacs®認定トレーニングの仕組みと認定資格取得条件が2024年10月より変更される。その背景には、メカ、電気電子系ハードウエア、そしてサイバーセキュリティに関する新たなプロセスアセスメントモデルの発行により、Automotive SPICEのアセスメントにより高い専門性が求められることになってきていることがある。
主な変化点は以下のリンクを参照していただきたい。
https://biz3.co.jp/intacs_regional_representatives_for_japan

このように、Automotive SPICE Guidelinesはアセスメントを実施するアセッサーのための指針として定義されているが、本ガイドラインにはプロセス改善に向けた様々なヒントが含まれており、当社ではプロセス改善への活用も推奨している。