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Automotive SPICE におけるプロセスの解釈について
(問題解決管理)

 Automotive SPICE v4.0が発行され、既に半年以上が経過しましたが、ガイドラインで明確になった例がいくつか存在します。
今回はそれらの点を踏まえ、改めて「Automotive SPICEにおけるプロセスの解釈について」述べたいと思います。

 問題解決管理のプロセスの中に「SUP.9.BP6: 終結までの問題の追跡」のプラクティスがあります。Ver3.1では、このプラクティスに関するステータスの管理方法について質問を受けることがありました。
その解釈について、具体的な例を基に説明をしたいと思います。
(事例)
 システム適格性テストにおいて不具合が発生し、その不具合(原因はシステムアーキテクチャ設計の誤り)を修正して再度、システム適格性テストを行うことになりました。
修正までの手順は以下のとおり

①  問題が発生した段階で問題管理表に問題の内容を記載し問題管理を開始
②  問題解決管理の管理手順に従い、分析等の活動を行いPMが問題修正を決定
③  この段階で、問題管理表の該当項目のステータスはクローズされ、問題管理表に問題の改修内容を記載(以降、変更管理表でステータスを管理)
④  変更管理手順に従い、設計書類の修正(工程に合わせ、変更管理表のステータスについても適宜更新)を実施
⑤  システム適格性テスト後、改修確認を関係者で実施し変更管理表のステータスをクローズ

 Ver4.0の改定に伴い発行されたガイドライン上の「SUP.9.RL.3」に「関連する作業項目(変更依頼又は開発タスクなど)が未だ完了していないにもかかわらず、問題のステータスが解決済みに設定されている場合、SUP.9.BP6は評定を下げなければならない。」(詳細はAutomotive SPICEガイドブック改訂第2版を参照)というような内容が記載されました。このルールを満たすためには、上記③において問題管理表のステータスをクローズにするのではなく、⑤の段階で変更管理表のステータスがクローズしたことを確認し、問題管理表のステータスをクローズすることが妥当と解釈できます。
 このように、Ver4.0で解釈が明確になっている場合もありますので、ガイドラインを見直してみることをお勧めいたします。

 弊社では、Automotive SPICEの管理・支援プロセスの担当者とプロジェクトリーダーおよび管理者を対象にした、管理・支援プロセスに関わる活動や作業成果物の観点を習得できるトレーニングを実施しています。また、トレーニングではアセスメントで見かけた事例なども織り交ぜながらお話をさせて頂いております。
詳細につきましては WEB(https://biz3.co.jp/publictraining_category/automotivespiceengineer)にて案内をさせて頂いておりますが、貴社にてプライベート開催も実施可能です。興味がある方は是非ご受講をご検討頂ければ幸いです。

2024/09/04 齋藤 幸裕