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Agile in Automotive Conferenceにおけるアジャイル開発の最新動向(南保)

先月9月25、26日に5回目の開催となるAgile in Automotive 2019がドイツのフランクフルトにて開催されました。今年は、アジャイル開発に取り組んでいるOEM、サプライヤー、スタートアップ企業等からの様々な視点での発表が見られました。

その中で、ドイツ自動車業界におけるアジャイル開発の動向として、VDAワーキンググループ<Agile Collaboration>の取り組みに関する発表がありました。本ワーキンググループは、VDAに加盟している13社のOEMやサプライヤー等で構成されており、アジャイル開発を実施することによって、変化しているビジネス環境や、技術的な複雑さの高まりに対応できることを狙いとして立ち上げられました。特に、アジャイル開発の協力体制を重要視しており、自動車業界において複数の企業で協力して製品開発を進めるための方法をまとめた文書が現在作成中であり、その概要の説明が実施されました。

文書では、二社間でアジャイル開発を進める際の協力体制を次の5つに分類し、そのうち2.~4.について扱っています。
1. Classical Collaboration 2. Linked Collaboration 3. Aligned Collaboration
4. Combined Collaboration  5. Embedded Collaboration

Linked Collaborationでは、要件について取り扱い、PO(プロダクトオーナー)が調整を実施し、チームレベルでは直接のやり取りが行われず、バックログはそれぞれの組織で保有します。Aligned Collaborationでは、優先順位の調整等プロジェクト管理に関する側面も含まれ、特定の状況下ではチームレベルで両組織のバックログの調整を行います(両組織のバックログ公開)。Combined Collaborationでは、同じレポジトリを使用し、共通のバックログで開発を進めます。文書内では、アジャイル開発を実施するには、上記のどの種類の協力体制が望ましいかを、主要なユースケースに対して提案していますが、特定のアジャイルフレームワーク使用は、推奨していません。

この文書は、来年の初めにVDAから「Blueprints」形式(強制力のない推奨事項形式)で一般公開後(無料、英語文書)、アジャイル開発を進める際のガイドラインとして活用されていくことが期待されています。

また、ワークショップ「複雑化する顧客要求に対応するための組織設計」では、アジャイル開発で抱えている問題点について議論され、グローバルな複数拠点で1つの製品を開発する際に直面する文化の相違、コミュニケーション問題、時差問題について、どのように対応すべきかについて参加者間で意見交換が実施されました。

最近、弊社においても上記のような問題への対応についてご相談を受けることがあります。弊社のコンサルタントは、日本のみならず、ドイツ、中国での勤務経験のあるメンバーが在籍しており、文化の相違の架け橋となるような開発に関するサポートや、言語サポートを提供しております。もし、上記のようなことでお困りの際は、是非ご相談ください。

2019/10/08  南保 あかね