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Automotive SPICEアセッサーのトレーニングで重要視していること(田渕)

先月のメルマガではintacs認定Automotive SPICEのアセッサートレーニングがオンライン化される旨を紹介させていただいておりました。今月のメルマガでは、そのアセッサートレーニングにおいて重要視していることについて触れたいと思います。

アセッサートレーニングの中でもお伝えしていることなのですが、Automotive SPICEに基づくアセスメントにおいて、アセッサーはAutomotive SPICEのプロセスアセスメントモデル(PAM)とアセスメント対象のインタビュー回答者の橋渡し役となります。PAMに記載されている用語や概念を、インタビュー回答者が十分に理解していないこともありますし、逆にインタビュー回答者が用いる用語がPAMには存在しないこともあります。このような状況において、アセッサーには両者をつなぐ役割があるのです。

その役割を果たすためには、PAMを正確に理解していることが大前提となります。しかしながら、それに加えて、開発現場で生じるあらゆる事象のプロセス的原因を的確に追究し把握する論理的思考力と、そのプロセス的原因によるリスクや改善の必要性をアセスメント対象組織に伝える説明能力が必要となります。そのため、アセッサートレーニングにおいては、個人の検討結果の発表やグループワークにおける受講者同士のディスカッションといった演習を全体の半分以上の時間に当て、演習を繰り返すことで論理的思考力と説明能力の基礎を築いていきます。

アセッサートレーニングは、特定の企業向けにプライベートで開催させていただくこともありますが、多くの受講者の方々は一般開催にお申込みいただくことで、様々な企業の方とディスカッションを行っていただくことになります。プライベート開催では、その企業の個別の状況に基づいた具体的な掘り下げができるという利点もありますが、一般開催の場合は、バックグラウンドの異なる方々とのディスカッションを行うため、特に説明能力についてはより強く意識できるものとなります。

intacs認定Provisionalアセッサートレーニングにおいては、少なくとも3つのプロセスに対する模擬アセスメントを繰り返していきますが、演習が進むに連れて短時間で結論を導きだせるようになったり、的確な発表が行えたりするようになったりと、その効果が明確に現れることが多いです。ただ、本トレーニングは限られた時間での実施となりますので、これだけで高いアセスメント能力が身に付くというものではありませんが、その後アセッサーとしてステップアップいただく上での重要な基礎となることと思います。

なお、アセッサートレーニングは、新型コロナウィルスの影響もあり、当面はオンラインでの開催となりますが、これまでのご説明の通り、本トレーニングは演習を重視したトレーニングであるため、トレーニング講師陣を増員して演習を運営させていただいております。具体的には、グループ演習の各グループにファシリテーター役の講師を割り当て、円滑なディスカッションをサポートさせていただいております。オンラインでの受講では十分な学習効果が得られるかどうか不安であるというご意見もいただいておりましたが、実際にオンラインで受講いただいた方々からの感想としては、円滑なディスカッションで理解が深まったというご意見や、また逆にオンラインで実施することによってディスカッションに加わりやすかったというご意見もいただいております。この機会にぜひオンラインでのアセッサートレーニング受講をご検討いただければ幸いです。

なお、前述のアセッサーの役割を果たす上で必要な能力の前提として、PAMの理解についても言及していましたが、PAMの解説そのものははAutomotive SPICEのアセッサートレーニングの中には含まれませんので、別途ご用意しております「Automotive SPICE プロセス基礎トレーニング」のシリーズをご活用いただければ幸いです。

2020/6/20 田渕 一成