2020年1月以降、当社発行のメルマガで、これからのプロセス/業務改善のインフラとしてのプロセスマイニング手法について、複数回にわたり概要や活用例を紹介してきました。プロセスマイニングでは、Automotive SPICEのような比較するプロセスモデルを持たず、現状のプロセス実施から得られるイベントデータを分析し、プロセスを再構成し、見える化します。すなわち、プロセスをモデル化する手法と大量の時系列データを分析する手段を併せ持つのがプロセスマイニングの特徴です。6月のセミナーでは、プロセスの見える化とその効果について紹介しました。本メルマガでは、プロセスの見える化を行った後のデータ分析について、品質保証活動に焦点をあてた活用例を紹介します。
プロジェクトには多くの利害関係者が登場し、それぞれがプロジェクト活動を通して解決、および改善すべき課題を持っています。例えば、下記は品質保証担当者からよく聞く課題です。
・複数のプロジェクトの監査活動(プロセス監査)を効率的に実施したい(セルフチェック、ヒアリング、集計と分析の工数削減)
・監査活動の結果から逸脱状況を定量的に把握したい(逸脱の具体的なケース、原因の深堀)
・品質メトリクス分析を効率的に実施したい
・複数のプロジェクトで測定しているデータから危険なプロジェクトを予測したい(予防活動)
複数のプロジェクトにおいて、利用可能な工数やリソースの制約内で、全てのプロジェクトに手厚い品質保証活動を実施することは難しいと言えます。現状は限られた工数の中で、プロジェクトのランクなどに基づいて、監査のタイミングや回数などを決定し、実施しています。このような課題に対して、プロセスマイニングの特徴を活用することで、代替または自動化することが考えられます。
プロセス監査で工程の担当者にヒアリングする前に、下図のようにプロジェクトデータを見える化することで実態(何が実施されたかの全体像)を把握します。これは、担当者のセルフチェックや担当者へのヒアリングの一部を代替していることになります。そして、分析用のビューの中で、興味がある指標やデータ項目に着目し、プロジェクト内、およびプロジェクト横断で分析を行い、担当者に確認すべき項目を絞り込みます。ここでのポイントは、実態を見える化することです。どのような順番で、何が実施されたかを視覚的に確認することで、前述のように着目した点が明確になり、見えてなかった問題点が見えてくるからです。そしてその問題点を深堀りすることで監査活動の効果を引き上げます。
また、標準プロセスが定義され、プロジェクトで適用されている場合は、下図のように「定義されたプロセス」をプロセス図として与えることで、見える化されたプロセスの逸脱を自動的に検出します。これによって逸脱状況を具体的に把握します。この時、プロジェクト間で比較し、逸脱の傾向を掴むことで、危険な状況に陥るプロジェクトの性質が見えてきます。逸脱結果に、例えば、特定の担当者や部門が共通で登場している場合は、逸脱の原因探索の出発点として着目することができます。
前述の活用例で示したように、品質保証活動を効率的、かつ効果的に実施するためには、実態として得られるデータから活動の見える化と分析をセットで実施するプロセスマイニングが重要な手段と言えます。
上記内容の詳細な解説、およびツールによる具体的な例を9月14日に、下記セミナーにて紹介いたします。ご興味のある方は、是非参加ください。
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2021/9/8 小西 晃輔