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「つぎはぎプロセス」のムダ、混乱からの脱却にむけて

2022年4月のメルマガで、自動車業界の製品開発プロセスに関わる規格/モデル(ITAF16949、ISO 26262、ISO/SAE 21434、Automotive SPICE)の適用範囲および認証/評定について紹介しました。(詳細は、https://biz3.co.jp/download/4549 を参照ください。)

現在は、自動車のコネクテッド化に伴うサイバーセキュリティ対応のみならず、自動運転の普及に伴う安全対応に関する法規(UNR 157)に適合するために、ISO 21448(SOTIF)が策定され、重要な国際規格が揃ってきました。自動運転システムは、下図に示すように、機能安全(ISO 26262)と意図した機能の安全(ISO 21448)による安全の保証、サイバー攻撃の脅威からの保護および対策(ISO/SAE 21434、ISO 24089)といった複数の国際規格に対応することが求められます。各国際規格の要求内容を個別に対応していくと、各規格への適合が目的となり、「つぎはぎプロセス」を構築することになります。その結果、開発プロジェクトへの適用時に混乱を招き、製品に対する安全の保証やサイバー攻撃の脅威からの保護および対策が十分に達成できない状況に陥るかも知れません。

当社では、これら複数の規格要求に適合したトータルプロセス構築のポイント、トータルプロセス構築前の現状分析にAutomotive SPICEのようなプロセスモデルを効果的に活用するポイント、そして開発プロジェクトへのトータルプロセスを適用する際のリスク管理のポイントをセミナーとして皆様に紹介していきます。

本メルマガでは、現在準備を進めている上記セミナーの概要を紹介いたします。

<今後開催予定の無償セミナーの概要紹介>
1.サイバーセキュリティまで対応する「製品開発トータルプロセス」構築のポイント

高度に複雑化した今日の自動車において、製品品質を脅かす最大の要因はもはや製造上の問題ではなく、設計上の問題であると言えます。設計品質が最重要なのだとすれば、その設計品質は何によって決まるのでしょうか。多くの人員が関わって組織的に行われる現代の製品開発においては、「設計/開発の方法の適切さ」つまり、開発プロセスの品質によって設計品質の大勢が決まると言っても過言ではないでしょう。

実際、OEMがサプライヤに開発プロセスの構築/改善を求めるケースは年々増加しており、昨今ではそれがシステム、ソフトウェアといった特定ドメインに留まらず、メカ、ハードウェアを含む製品全体に拡大する傾向も見られます。またご存じのように、機能安全やサイバーセキュリティといった分野でも、組織のプロセス構築が要求されています。このように現在、OEM/サプライヤに求められているのは、製品全体をカバーし、製品全体の品質の根拠となりうる「製品開発トータルプロセス」を構築することなのです。

しかしながら、製品開発トータルプロセスの構築に際して困難を経験する組織は非常に多く見られます。その主な要因は、製品開発トータルプロセスが多くのドメインをまたいで構築されるということです。プロセス規格の界面や、部署毎に構築された標準プロセスの界面において、活動の矛盾や欠陥、無駄が発生するのです。こうしたプロセス界面に発生する無理、無駄にどう対処していくべきか、そのヒントを、弊社が提供可能なサポートと併せてご紹介いたします。

2.ポテンシャルアナリシスを活用して、スピーディに現状分析をしてみませんか?

前述の図が示しているように、Automotive SPICEは、国際規格(ISO 26262、ISO/SAE 21434、ISO 24089)の要求を満たすプロセスを構築するために活用されています。このような背景において、Automotive SPICEに適合した開発プロセスの確立に関するお問合せを多くいただいております。その中でも「開発プロセスを構築するために何から手を付けて良いのか分からない」「開発プロセスはあるが自分たちでは何が課題なのか抽出できない」などの声を多く聞きます。開発プロセスを改善するためには、先ずは改善活動の目標を設定した上で、現状を分析し、そのギャップに対して改善策を検討することが効果的です。

これまで、弊社ではAutomotive SPICEに基づいたアセスメントをベースとした現状分析のサービスを提供しておりましたが、規格と開発プロセスの適合性を確認する観点で個々の指標を詳細に確認するインタビューやレポートの作成を含めた活動に1週間以上の日数がかかることから、お気軽にご依頼いただけない状況があったかと思います。

そこで、Automotive SPICE v4.0に含まれる予定のポテンシャルアナリシス用PAMを活用した現状分析のご支援について紹介いたします。ポテンシャルアナリシス用のPAMは、サプライヤ選定や現状分析に活用され、Automotive SPICEの能力レベル1の基本プラクティス(BP)にフォーカスされています。開発プロセスに対するリスク評価の観点でインタビューの深さを浅くすることによって、インタビュー時間やレポート作成時間を大幅に削減することで、これまでよりもお気軽に現状分析をご依頼いただけるようになります。

3.リスク管理における成功事例の紹介

昨今の製品開発は年々複雑化し、製品に関わるステークホルダーも増えつつあります。そういった状況の中、プロジェクト管理者が頭を悩ませる活動の1つとして、リスク管理があります。リスク管理は、開発で想定されるリスクを抽出しておき、リスクの予防策や軽減策を事前に用意し、実行に移す活動です。しかし、いざリスクを想定しようとしても、「なかなかリスクが思いつかない」、また逆に「多くのリスクを抱えすぎてプロジェクトの負荷が上がってしまう」、といった難しさを持つ活動でもあります。

そこで今回のセミナーでは、そういった悩みの一助となるべく、ある現場で行っている合理的なリスクの抽出方法や、抽出されたリスクをうまくコントロールした成功事例をご紹介します。

来年のリリースを控えたAutomotive SPICE 4.0では、優先度の高いアセスメント対象プロセスを定義したBasic Processの中に、リスク管理プロセスが採用される見込みであり、自動車業界においても、リスク管理の重要性がより高まってきています。このセミナーを通して、リスク管理の具体的な方法を考えるきっかけにしていただければと思います。

本メルマガで紹介した各セミナーの開催については、準備が整い次第、メルマガ、および当社ホームページ上でお知らせいたします。また、セミナーで扱って欲しいテーマや課題も随時受け付けておりますので、お気軽にお問合せください。

2022/10/27 マーケティングチーム