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IEC 61709およびSN 29500に基づく部品故障率計算における課題

 2017年にIEC/TR 62380が廃止され、IEC 61709(SN 29500とほぼ同等)がその代替として採用されました。この変更により、ISO26262第2版からはIEC/TR 62380が参照情報から削除され、現在では、IEC 61709およびSN 29500による部品故障率の計算が一般的になりました。
 この代替による問題は、車両での使用環境下において、ハードウェア部品が晒される温度は一定ではないため、部品故障率の算出には1年間を通した使用条件下のミッションプロファイル(稼働時間やその間の温度条件)を考慮する必要がありますが、それをどのように考慮して計算を行うかということです。
 ミッションプロファイルは、車両の使用条件に依存するため、OEM様から提供されることが期待されますが、実際には提供されないケースも多く見受けられます。そのため、計算モデルで定義されたミッションプロファイルを基に計算が行われることがあります。
 これまで一般的に使用されてきた IEC/TR 62380 では、車載製品向けのミッションプロファイルを定義しており、OEM様からミッションプロファイルの情報提供がない場合でも、計算モデルで定義されたミッションプロファイルを基に計算を行うことができました。

IEC/TR 62380による故障率計算

しかし、新たに一般的に使用されることとなった IEC 61709およびSN 29500 では、ミッションプロファイル(稼働時間やその間の温度条件)が定義されておらず、単一の温度条件での計算となります。

IEC 61709による故障率計算

単一温度での計算式である(ミッションプロファイルを考慮する計算式ではない)IEC 61709 および SN 29500による部品故障率計算の中で、どのようにミッションプロファイルを考慮して故障率を算出するべきか、また、OEM様からミッションプロファイルの情報提供がない場合に、ミッションプロファイルの定義がない IEC 61709 および SN 29500 による部品故障率計算の中で、何を基に、どのようにミッションプロファイルを考慮して故障率を算出するべきか、検討する必要があります。
 例としては、IEC/TR 62380 で定義されているミッションプロファイルを適用する方法があります。
各温度フェーズでの故障率を算出し、年間稼働比率を考慮して平均化することで、ミッションプロファイルを考慮した故障率を算出する方法です。

 このように、いくつかの計算モデルの考え方や定義を組み合わせながら、故障率計算で考慮すべき要素を網羅し、自社としての計算標準を整備することを検討されてみてはいかがでしょうか?

 弊社では、「IEC 61709およびSN29500に基づく部品故障率計算におけるミッションプロファイルの実践的適用」 と題した座談会を実施いたします。本座談会では、ミッションプロファイルの適用に関する難しさや課題、疑問点を共有し、実践的な計算を行うための具体的なヒントを模索します。
 同じ課題への取り組みをされている方と議論する良い機会になるかと思いますので、是非ご参加ください。

<無償座談会の詳細及びお申込みページ>
https://biz3.co.jp/publictraining/6721

2025/1/29 大塚 愁