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メジャーリーグのオープン・シェア革命を開発現場に

 今春NHKの番組で、スポーツの世界におけるデータを共有して選手の能力を伸ばす、”オープン・シェア革命”の特集が放送されました。その中で”オープン・シェア革命”の一例としてメジャーリーグにおける取り組みが紹介されています。試合中のボールや選手の動きのデータをオープンにシェアすることで他の選手はその技術を会得します。実際に共有されていたデータは、変化球の投球映像、ボールの軌道、変化の大きさやボールの回転数の数値など多岐に渡りました。「すべての球がすべての投手に投げられるようになるのが僕の夢」と語るダルビッシュ有投手が公開した新しい変化球は、すぐにシェアされ他の投手は新しい変化球を学びます。
 
 ”オープン・シェア革命”をメジャーリーグで加速させたのは、トレバー・バウアー投手でした。ハイスピードカメラで計測したデータを見て手首の角度や握りを変え、そのデータの確認を繰り返し、チームメイトのスライダーを再現しました。バウアー投手はそこで終わらず得られたデータをシェアします。その後さまざまな選手からノウハウが共有され、打球速度158キロ以上、角度は30度前後であればホームランが増えること、ボールの回転数や回転の質を上げるトレーニング情報などが広がりました。かの大谷翔平選手もデータを確認しているという話です。欧米では業種を問わずプロセスマイニングを用いたデータのシェアや業務改善が近年広がりました。開発現場でもプロセスマイニングツールとその知識が少しあればデータのシェア、そして改善の機会を見つけることができます。
 
弊社ではプロジェクト管理ツールやタスク管理ツールからエクスポートしたCSVファイルに記録された”開発フェーズ”、”開発フェーズで実施された活動”、”活動のタイムスタンプ”から実際の開発の流れをプロセスマイニングで「見える化」しました。プロジェクト管理やタスク管理ツール上でも開発の流れは見えますが、活動のタイムスタンプがよりリアルな活動結果を見せてくれます。実際には手戻り、何度も繰り返されている活動、スキップされた活動、想定していない活動の順序が見つかりました。さらに複数のプロジェクトをプロセスマイニングすれば、失敗あるいは成功しているプロジェクトの特徴を把握できる可能性も確認しています。
 
車載システムの高機能化にともない製品アーキテクチャも複雑かつ大規模に、そして開発の進め方とその開発体制も複雑化して「どのように開発を進めればいいのか」といった声をお聞きします。プロセスの実際の使われ方がわからないままプロセスを改善して効果が見えないというお客様もいました。「共有しなければ、他人からのフィードバックがもらえない」、「共有をやめたら学ぶスピードが落ちる。それは損だと思う」という言葉をバウアー投手は残しています。困難な開発に直面している今、プロセスマイニングによる開発データの見える化そして組織内でオープン・シェアを試み、定量的なフィードバックによる開発活動の改善を図ってはいかがでしょうか。
 
参考)弊社プロセスマイニグのページ:
https://biz3.co.jp/lp_category/processmining
https://biz3.co.jp/publictraining_category/processmining

2021/11/10  西門 克郎