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機能要件だけが顧客の要件ではない・・・

今回は、アセスメント時に発覚する見落としがちな事例についてお話をしたいと思います。
Automotive SPICEのアセスメントと言えば、プロセスアセスメントモデルに書いてあることを守って開発を行っていればよいと考えていると思いますが、それだけではないということです。
つまり、顧客からの要件を把握していなかったためにアセスメント時に顧客要件を満たしていないという弱みの指摘を受けるということが起きています。
 
一般的には、顧客から受注が確定したタイミングで顧客と受注に関する契約書を取り交わし開発がスタートすると思います。
多くのOEMはこのタイミングで作業指示書(statement of work)を提示し、契約の際にこの内容についても合意を求めることが多いです。
また、多くのサプライヤーは契約時に提示される資料が多く、確認の作業が間に合わないために作業指示書の内容を確認していない(気がつかない)ことが見受けられます。
通常、作業指示書は契約書に基づいて行われる業務の内容より開発に関して実施してほしい内容を具体的に記載しています。
どの様なことが書いてあるかというと・・・
・製品開発をとおして作成すべく成果物
顧客に提出する成果物と記載内容と提出時期
内部資料として作成すべき成果物
・製品開発する際に適用すべき開発プロセスのモデルなど
例:Automotive SPICEで定義している各プロセスを実施する際の活動内容
のような側面について細かく記載されています。要求事項はVDAの規定する16プロセスを中心が記載されていますが、その中でもエンジニアリング系プロセスに対する要求項目が多いのが特徴となっています。
 
具体的に、ソフトウェアエンジニアリングプロセス(SWE.3 / SWE.4)に関する例を見てみたいと思います。
「ソフトウェアのリリースごとにソフトウェアメトリックを測定し、OEMに提供すること。測定するメトリックは、以下に示す項目で基準値を超えないように設計する
サイクロマティック複雑度(基準値:XX)
静的パス数(基準値:XX)
‥‥」
のような内容が顧客から要件として提示されます。
サプライヤーが提示されている要件についての対応を行っていないとアセスメント時に以下のような指摘を受けることになります。
 
指摘例:「ソフトウェアメトリックの測定が実施されていない」という所見がSWE.4の弱みとして記載される
 
また、この場合、メトリックスの計測をしていなためソースコードを直接確認し、どのようなコーディングをしているのかを確認にされることになります。このことにより他のプロセスにも指摘が波及することがあります。また、最悪の場合には、メトリックスを満足出来していないことも発覚し、OEMより再設計を指示されるということも起こります。
 
アセスメントにおいて上記のような事象が発生するのは、作業指示書に記載されている要求事項の(ボリュームが多く数百件を超えていることも)内容をしっかりと確認をせずにOEMと合意をしているというのが実情の様です。
このようなことが起こらないように、顧客から提示される文書を慎重にチェックしていく必要性があります。
 
弊社では、Automotive SPICEプロセスを理解し、各組織やOEMの要求に対応できるようなプロセス資産を構築していくことを目的としたワークショップを実施しております。そのワークショップの中では今回お話した事例などを基に、アセスメントに関する注意事項などを織り交ぜてお話させていたたいています。ご興味のある方はWEB( https://biz3.co.jp/service_list/lineup/ )にて詳細を案内させて頂いておりますので参考にして頂ければと思います。
 
お問い合わせ先
https://biz3.co.jp/contact/
 
2021/11/26  齋藤 幸裕