海外OEMアセスメントの落とし穴:アセスメントの「成果が変わる」通訳

2025.07.31
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皆さんはアセスメントのインタビュー回答者になった経験がありますか?
アセッサーからは「アセスメントに向けた特別な準備は不要」と言われることが多いものの、海外OEMが実施するアセスメントでは、その結果でノミネーションを受けられたり、受注条件が決定したりするため、実際には多くのプロジェクトで入念な事前準備が行われています。そこで本号では、「(通訳を介した)英語アセスメントで、準備した情報を最大限に活かすポイント」を通訳の視点からご紹介します。

海外OEMアセスメントの落とし穴

その1. 聞かれなかったから提示しなかった

実際にあった例ですが、要件分析プロセスのインタビューで「○○に関する分析はどのように実施しましたか?」とアセッサーが質問しました。回答者はレビューチェックリストの該当項目だけを提示し、アセッサーは「分析資料はこれがすべてだ」と判断して次のトピックへ進んでしまいました。しかし、そのプロジェクトにはチェックリストのほかに、分析内容を詳細にまとめたExcelシートが存在していました。
このような場合、「聞かれなかったことに関して提示しなかった」となると問題です。アセッサーが詳細資料の存在を知らなければ、分析に関する BP の評定が下がる恐れがあります。この分析Excelシートに若干欠点があったとしても、「聞かれなかったので提示しなかった」で済ませないことが重要です。アセッサーが報告書を作成する前(最終コンソリデーション前)までにアセッサーにその文書の存在について相談してみましょう。

その2. 質問の意図が曖昧なまま答えてしまう

アセッサーは「How did you … ?」のように自由回答を促す質問を好みます。実際にAutomotive SPICEがまだ今ほど普及していなかった15年以上前に、次のような会話がありました。
アセッサー「どのようにプロジェクト計画書を作成しましたか?」
プロジェクトリーダー「自分の PC で作成しました。」
これは極端な例ですが、日常会話として成立してもアセッサーの期待する答えとは異なります。質問の意図が不明確、または二つ以上の解釈ができる場合は、質問の仕方を変えてもらい、アセッサーが求める内容に合わせて回答しましょう。そうしないと、会話が成立している(意思疎通ができている)以上、アセッサーが意図したことと異なる回答がなされた場合、インタビュー回答者がアセッサーの意図した内容の証拠を持っていないとアセッサーは判断し、その質問に関するBPの評定を下げてしまいます。

その3. 準備した回答のシナリオと異なる、「想定外の切り口」で質問された

例えばMAN.3において、見積工数一覧や見積手順書を基に回答を事前に用意していても、当日のインタビューで「見積工数の合計値」と「スケジュール上の予定工数合計値」をその場で計算させられ、数値の差分がアセッサーによって確認されることがあります。実際のプロジェクトでこれらの数値が完全に一致することはほとんどなく、アセッサーは弱みとなりうる乖離の原因究明のために追加の質問を重ねます。しかし、その場で当時の状況を思い出せず裏付け資料も提示できないまま、見積に関するBPの 評定が下がり、さらに BP8(スケジュール)や BP9(一貫性)も連鎖して下がり、結果としてMAN.3 全体の評価が良くなかったということもよく起きています。

通訳サービスを活用し、海外OEMアセスメントの落とし穴を避ける

上記のような落とし穴を避けるためには、通訳を戦略的に活用しつつ、アセスメント準備成果を最大化することが可能です。弊社の通訳サービスでは、通訳はAutomotive SPICEのみならず、ISO 26262やISO/SAE 21434の専門知識を保有しており、質問の意図を正確に理解できます。そのため双方のコミュニケーションが正しく成立していない場合には、通訳がその旨を双方に通知して、意図した内容についての質疑応答になるようにサポートいたします。また、その場で提示できなかった文書について、プロジェクトとアセッサーとの間に入りその文書の提示タイミングを調整することも可能です。海外のOEMアセスメントで当然のように質問してくる切り口やOEM独自の観点についても、事前のブリーフィングを実施し、OEMごとによく聞かれる質問の傾向をお伝えできます。

通訳サービス利用をされたお客様の声

これまで通訳サービスを利用したお客様から「OEMの質問を単純に和訳するだけではなく、意図まで含めて正確に通訳していただけたので、質問への適切な回答、ひいてはレベル達成にもつながりました」などのフィードバックを多数いただいております。またアセスメントが数年に1回の周期で実施されるOEMプロジェクトのお客様からも、その度にリピートいただいております。皆様の海外OEMとのアセスメントについてもご支援したいと思いますので、是非ご連絡をお待ちしております。

アセスメント通訳サービス:https://biz3.co.jp/service/assessment/8763

株式会社アイシン様の事例紹介:https://biz3.co.jp/service/consulting/5791

2025年7月31日 南保 あかね


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