プロジェクト管理における、エクセル脱却とツール導入という誤解
【エクセルでのプロジェクト管理に限界を感じていませんか?】
あなたの会社では、タスク管理、課題管理、不具合管理、レビュー指摘管理、リスク管理といったプロジェクト管理を、エクセルで行っていませんか?
プロジェクトでは、さまざまな情報や成果物を横断的に管理する必要があります。エクセルは非常に優秀で便利なツールです。セルを駆使すれば成果物のテンプレートとして定型化できますし、数式やマクロ、条件付き書式によって集計の自動化や効率化も実現できます。また、導入コストが不要で、比較的短時間で運用を開始できるなど、メリットを挙げればきりがありません。
一方で、昨今は Automotive SPICE や ISO 26262 などの規格要求への対応が求められる中で、プロジェクト全体の状況把握やトレーサビリティ確保の観点から、エクセルによるプロジェクト管理に限界を感じる企業も増えています。
その結果、エクセル管理からの脱却を検討し、プロジェクト管理ツール導入へ舵を切りたいと考えるケースが多く見られるようになりました。
【なぜ、プロジェクト管理ツールへ移行したいのか?】
プロジェクト管理において、エクセルは優秀ですが、当然デメリットもあります。例えば以下のような点です。
・多人数での同時編集に弱い
・作業のエビデンスや変更履歴、差分の管理が難しい
・プロジェクトごとにカスタマイズされ、標準化しにくい
・作業のワークフローが担当者に依存する
・作業および成果物間のトレーサビリティがとりにくい
・メトリクス集計など手作業が必要
・プロジェクト全体の状況把握が難しい
プロジェクト管理ツールはこれらの弱点を補うよう設計されています。そのため、ツール導入へ向かうのは自然な流れといえます。
【ツール管理による落とし穴】
さて、プロジェクト管理ツールを導入しました。実際に運用してみてどうでしょうか。違和感はありませんか?
確かに、ツール導入によって理想に近づいた部分はあるはずです。しかし一方で、「前より面倒になった」「作業時間が増えた」と感じることはありませんか。
例えば:
・エクセルでは1つのシームレスな流れで完結していた作業が、
ツール上では複数の画面入力やステータス操作を要求されるようになった。
・1つの表にまとめて記録できていた内容が、ツールでは複数のチケットや項目に分割された。
規格要求に対応するために追加された作業があるのは当然ですが、これまでエクセルでできていた部分をツールに置き換えたことで、逆に負担が増えているケースも少なくありません。
【ツール導入は銀の弾丸ではない】
ツールは魔法の解決策ではありません。ツールに切り替えればすべてが改善されるわけではなく、ツールにはツールの良さがあり、エクセル管理にもエクセルの強みがあります。重要なのは「すべてをツールに押し込む」のではなく、ツールとエクセルを適切に住み分けることです。
では、どこで切り分けを行えばよいのでしょうか? 本来は、導入前にツールとエクセルそれぞれのメリット・デメリットを整理し、現在の作業実態をメトリクスなどで可視化したうえで判断する必要があります。しかし実際には、十分な分析が行われないままツール導入に踏み切ってしまい、「ツールに置き換えたはずなのに、作業が増えた」「以前より手間がかかる」といった本末転倒な状況に陥るケースが少なくありません。
そもそも、エクセル管理は“悪”ではありません。むしろ、柔軟に書式を変えたい作業、小規模でスピードが求められる管理、試行錯誤が多い初期フェーズなどはツールよりエクセルのほうが効率的な場合が多くあります。一方で、トレーサビリティが必須となる領域、品質証跡が要求される領域、多人数で一貫したワークフローが必要な領域ではツールの力が必要です。
つまり、“全部をツールに置き換えること”が目的ではなく、ツールとエクセルの適切な住み分けこそが現実的で負担が少ない運用なのです。特に、現場がすでに確立している運用を無理にツールへ合わせると、効率が下がったりストレスが増えたりすることも珍しくありません。ツールは強力な仕組みを提供する一方で、柔軟性が必要な部分には必ずしも向いていない場合があります。だからこそ、自社の作業特性や文化を踏まえたうえで、「どこまでツールに任せるべきか」を慎重に見極めることが重要です。
しかし、この「どこをツールにし、どこをエクセルに残すか」という判断こそ、最も難しい部分です。現場の実態やプロセスが属人化している場合、適切な基準を設けるのは容易ではありません。
弊社では、EPG(プロセス改善担当)、PMO、QA支援などの形で貴社の現場に入り込み、ツール導入前の検討段階から導入後の運用改善までを伴走しながら支援するアウトソーシングサービスを提供しています。ツールを使うべき領域、エクセルを残すべき領域を明確にし、現場の負担を抑えながら効率的にプロジェクトを運営できる仕組みづくりをサポートします。
ツール導入や運用の最適化でお悩みでしたら、ぜひ私たちにご相談ください。
2026年1月22日 藤本 昌弘
アウトソーシングサービス:https://biz3.co.jp/service/outsourcing
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