Automotive SPICEについて

Intro to Automotive SPICE

8. システムの範囲

Automotive SPICEのシステムプロセスの範囲は一般的な方法で解釈ができる。これは、システムプロセスは特定のシステム境界に紐づいておらず、Automotive SPICEが製品階層を表していないことを示している。
一般的にシステムとは、「特定の環境内において、特定の機能または一連の機能を実現するために編成された相互作用のあるシステムエレメントの集合」のことである。システムエレメントは、要求や設計の要素を具現化した実体を指す。つまり、システムとは何かが単一で成り立つものではなく、エレメント、すなわち実体を伴ったものの集合体として成立する。
この実体は、機械系ハードウエア、電気・電子系ハードウエア、ソフトウエアの各技術ドメインから成り立っており、システムは個々の技術ドメインの上位概念として位置づけられる。この概念に基づいて下図に示す車両に搭載される「メカトロニクスシステム」の例は、メカシステムとドライブ/電圧変換(システム)に分解され、ドライブ/電圧変換(システム)は、モーター(システム) とECU(システム)に分解される。更に、ECUは、電子系ハードウエア、ソフトウエア、筐体の各技術ドメインに分解される。下図のメカトロニクスの例では、各システム階層の境界は、システムプロセスインスタンスによって表現される。
マイコンやSoC(System-on-chip)の場合も、電子系ハードウエア、ファームウエア、筐体で構成されるため、システムプロセスが適用される。


出典:VDA QMC Automotive SPICE® Guidelines