【2025年総集編】今年最も読まれたメルマガTOP10の発表

2025.12.02
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 いつもメルマガをご愛読いただき、誠にありがとうございます。早いもので今年も残すところあとわずかとなりました。本メルマガは特別編として、2025年に配信した全37号の中から、最もアクセス数の多かったメルマガトップ10をランキング形式でお届けします。
 実は、第1位に輝いたのは「Automotive SPICEにおけるプロセスの解釈」シリーズでも機能安全やサイバーセキュリティに関する実装技術解説でもありませんでした。意外にも、多くの読者様の心を掴んだのは、もっと身近で切実なテーマだったのです。
 それでは、10位から順にカウントダウン形式でご紹介してまいります。まだお読みでないメルマガがあれば、この機会にぜひチェックしてみてください。

 まずは機能安全やサイバーセキュリティ分野の実装技術の解説が中心となった10位~6位をご紹介します。

【第10位】Biz3アウトソーシングサービスによるBI環境構築事例のご紹介(7/16配信) →メルマガを読む

 プロジェクトに対して行ったアセスメントから抽出された弱みを改善していく過程で、改善効果が分かり難いという課題に、BI環境を用いた効果の可視化をプロジェクト状態の具体例で紹介しました。

【第9位】従属故障分析を考える(4/23配信) →メルマガを読む

 車載システムの機能安全対応の中でも多くの質問や相談を受けるのが、従属故障分析の必要性や安全分析(FMEA、FTA)との関係性です。従属故障分析の必要性を考える理由、さらに合理的な安全分析活動に焦点をあてた解説が注目されました。

【第8位】サプライヤにおけるTARA実施の現実と課題解決へのヒント(7/2配信) →メルマガを読む

 自動車サイバーセキュリティは法規制対象になり、車載システム開発にとって重要な課題です。その中でも、OEMとサプライヤ間など組織を跨いだ情報共有はかなり慎重に行われる傾向が強く、サプライヤは限られた情報に基づいて創意工夫を重ねながらTARAを実施している現実について触れ、ヒントになる考えを解説しました。

【第7位】自社に最適な機能安全アセスメント構築へ ~エンジニアとアセッサーの認識ギャップを埋め、設計の手戻りをなくすには~ (8/21配信)  →メルマガを読む

 再び機能安全に関するトピックがランクインしました。機能安全アセスメントの視点で、開発現場とアセッサー間で生じるすれ違いの要因、同じレベルで議論ができるためのヒントを解説した点、およびそれを体験するワークショップが注目されました。

【第6位】生きた組織標準プロセスを設計するためのポイント (10/8配信)  →メルマガを読む

 このあと発表する第5位、第1位のメルマガを受けて、開発プロセスが重くなる背景や、それに対する組織標準プロセスを設計する際のポイントについて、組織標準プロセスの設計や品質と機能安全の統合やサイバーセキュリティの統合の事例を交えて、「生きたプロセス」設計の勘所を解説しています。

 ここまでの順位をご覧になっていかがでしたか。機能安全関連のメルマガが2件ランクインしています。機能安全規格の初版が2011年に発行されてから10年以上が経過し、定着化してきたと考えられます。一方でシステムの更なる複雑化や電子部品の高性能化が同時に進み、サイバーセキュリティという属性も統合したマネジメント体系、開発アプローチと言った包括的な課題へと変化しています。その包括的な課題に対して、開発現場では知識や知見をアップデートしながら対応を進めたいという要望があることがこのランキングから伺えます。
 続いて、開発現場が抱えている具体的な課題が見えてきた5位から2位までを見ていきましょう。

【第5位】そのプロセスは生きていますか? ~形だけのAutomotive SPICE運用から抜け出す「現場目線」の改善サイクル~ (9/11配信)  →メルマガを読む

 開発現場から聞こえてくる「モヤモヤ」の正体や気づきがプロセス改善のための重要なヒントであることを現場視点で具体的に説明しました。そして「モヤモヤ」の気づきからプロセスを生きたものにするための改善ポイントについて解説し、そのポイントに多くの共感が得られました。

【第4位】海外OEMアセスメントの落とし穴:アセスメントの「成果が変わる」通訳 (7/31配信)  →メルマガを読む

 海外OEMが実施するアセスメントは、ノミネーションや受注条件を決定する重要なイベントです。念入りに事前準備をしても、海外OEMが当然のように質問してくる切り口やOEM独自の観点が把握できていないと落とし穴にはまる場合があります。経験豊富な通訳担当者による事前のブリーフィングを実施し、OEMごとによく聞かれる質問の傾向を事前に伝える支援が注目されました。

【第3位】ソフトウェアパーティショニング設計の実践アプローチ (大切な安全機構を守るための設計技術) (6/26配信)  →メルマガを読む

 機能安全に関する3つ目のメルマガがランクインしました。ソフトウェアが支配的になるEVやADASのシステムでは、安全設計を担保するための重要な技術の1つとして「ソフトウェアパーティショニング設計」の考え方、空間・時間・論理・仮想技術の4つの観点での実装例を解説しました。ソフトウェアパーティショニング技術を基本から理解するにはお薦めの解説です。

【第2位】intacs®アンケート調査から見るAutomotive SPICE導入の費用対効果 (10/29配信)  →メルマガを読む

 改善担当者、プロジェクトメンバーだけでなく、上位管理者層も知りたかった「Automotive SPICE導入の費用対効果」について、一つの公式回答がintacs®アンケート結果として発表されました。アンケート結果を紹介した本メルマガは、大きな反響を呼びました。この結果は、プロセス改善の費用対効果を社内へ説明しなければならないプロセス推進担当者の方は、業界内の傾向として正しいプロセス改善を行っている組織では投資以上の効果を得られていることを関係者へ説明する材料になります。

 さて、いよいよ第1位の発表です。2位の約1.5倍のアクセス数で第1位に輝いたのは、9月に配信したプロセス改善のあるある的な問題を扱った下記のメルマガでした。

【第1位】重い開発プロセスを改善した事例紹介~ECRSの原則を用いた引き算~ (9/4配信) →第1位のメルマガを読む

 皆様の予想は当たりましたでしょうか?
 第5位のメルマガで「モヤモヤ」が解消されない背景に、重い開発プロセスを受け入れる思い込みから、真の課題にならないことが触れられています。第1位のメルマガでは、その点からさらに踏み込んで、重い開発プロセスになった経緯、軽くするためのアプローチの具体例として「ECRSの原則」の活用を解説しました。そして、ECRSの原則に基づいた改善事例と取り組む際の注意点をまとめています。直ぐにでも試してみることができるアプローチという面が、多くの読者から共感を得たと思います。

 最後に、トップ10を改めて俯瞰すると、皆様の主な関心事は、システムの複雑化に対する技術的な課題と開発現場に適した改善効果の創出ではないでしょうか。前者においては、統合ECUやSDVに対応した製品開発において、従来の設計概念や安全設計の考え方では十分に顧客要求を満たすことができないケースが増えていると思います。この不足を補う知見や経験またはヒントを求めていると理解しました。また、後者においては、気づいたら始まっていた「プロセスの形骸化」への助けを求める声だと強く感じました。改善の方向性に課題があり、他社における改善活動の成功事例や上手くいく改善のコツを求める行動が最も読まれた理由と考えています。

 今回のランキングは、皆様による「メルマガのクリック」を基に作成しました。今後もより価値ある情報をお届けするため、「こんな事例を知りたい」、「この問題で困っている」、また「この部分が特に役立った」、「もっと詳しく知りたい」など具体的なフィードバックを身近にいる当社コンサルタントと会話して頂ければ幸いです。
 2026年も皆様の声に耳を傾け、理想論ではなく現実解を、そして知識だけではなく適用事例もお届けしてまいりますので、ご期待ください。

2025/12/3 小西 晃輔


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